心アミロイドーシスの病理、診断基準などを調べてみました。






● 心アミロイドーシスの概要

 

アミロイドーシスとは、原因となる異常なタンパク質が、心臓、肺、肝臓、脾臓、胃・腸、腎臓などの臓器に沈着して、いろいろな臓器の機能が低下し発病する病気のことです。

原因のタンパク質の種類やアミロイドの沈着する臓器は病気によって異なります。これらの病気のうち、心臓にアミロイドが蓄積し、心臓の機能が障害された状態を「心アミロイドーシス」といいます。

厚生労働省特定疾患アミロイドーシス調査研究班による新分類によると、大きく分けて2つに分類されます。

全身のいろいろな臓器に沈着する「全身性アミロイドーシス」と、ある臓器のみに沈着する「限局性アミロイドーシス」になります。さらに、原因となるアミロイド・タンパク質により細かく分類されます(表1)。

表1.アミロイドーシスの分類

 

現在のところ、免疫細胞性アミロイドーシス(ALアミロイドーシスなど)、家族性アミロイドーシス(家族性アミロイドポリニューロパチーなど)及び老人性TTR型アミロイドーシスが特定疾患治療研究事業による医療費公費負担の対象疾患となっています。

ALアミロイドーシスおよび老人性TTRアミロイドーシスを含めた有病率は人口100万人当たり6.1人(2004年度臨床調査個人票にもとづく調査)と推定されており、まれな病気です。

 

● 心アミロイドーシスの症状

 

心アミロイドーシスの主な病態は、心臓の組織にアミロイドが沈着することで、その結果、心室の壁が厚くなり広がる能力が低下し、さらに病状が進行すると収縮する力も落ちます。

その結果、治療が困難な心不全となります。また、刺激伝導系(しげきでんどうけい)にアミロイドがたまることもあり、いろいろな不整脈も起こります(表2)。

心アミロイドーシスはこれらの全身性アミロイドーシスが部分的に現れた症状であり、沈着するアミロイドの種類によって臨床所見や予後(病気の見通し)が違います。

心アミロイドーシスの原因となるアミロイド蛋白は、主にAL型とATTR型の2タイプで、一般的にAL型アミロイドーシスの方が病気の進行が速いです。予後は診断時の病気の進み具合によって、患者さんごとに違いがありますので一概には言えません。

表2.アミロイドーシスの症状

 

● 心アミロイドーシスの診断

◆ 症状の確認

 

アミロイドの症状に特有のものはありませんが、表2にあるアミロイドーシスと関連が深い症状をもとに病気を疑い、以下の検査を進めます。

 

◆ 胸部レントゲン像

 

心拡大がみられる場合もあります。また、心不全を呈する患者さんでは、心拡大、肺うっ血、胸水がみられます。

 

◆ 採血検査

 

AL型アミロイドーシスでは、しばしば血清中の単クローン性γ-グロブリンや、尿中のBence Jones(ベンスジョーンズ)タンパクがみられることがあります。また、血中の免疫グロブリン遊離L鎖κ/λ比も最近簡単に測れるようになり、診断に重要な検査となっています。

AL型のアミロイドーシスでは、この免疫グロブリン遊離L鎖とともに「心筋トロポニン」、「NT-proBNP」が患者さんの予後を予測する重要な血液検査所見です。

 

◆ 心電図

 

様々な心電図の異常所見を観察できますが、心臓の肥大に心電図の低電位を伴う場合、アミロイドーシスの可能性が強まります。さらには、アミロイドが洞結節へ沈着することで、洞不全症候群や房室ブロックを生じます。

また、脳梗塞の原因となる心房細動という不整脈が本疾患ではよく見られます。心室筋にアミロイドが沈着すると、非常に危険な心室性の不整脈がみられることもあり、心アミロイドーシス症例にて突然死の原因となることがあります。

 

◆ 心エコー検査

 

心臓エコー検査では、左心室壁が厚くなり、心房が大きくなります。また、心アミロイドでの特徴的な所見としては、心室壁内にキラキラと顆粒状(かりゅうじょう)の輝度が増加します。

左室流入血流のドップラーエコーでは、拡張障害(かくちょうしょうがい)がみられます。

心肥大はこの病気を疑う重要な手がかりとなる所見です。また、心室筋拡張能が収縮能に比較し早期に障害され、この拡張能の障害の程度は、心アミロイドーシスの心筋肥大の程度と関係があります。

心アミロイドーシスは心臓の先端について動きが良いまま保たれるという特徴もあり、診断の助けになります (図1) (小山(2008))。

 

 

◆ 心臓MRI、99mTc PYPシンチ

 

心臓MRI検査において、左心室だけでなく右心室も含めた、心筋内膜下を中心とする遅延造影所見は心アミロイドーシスに特徴的であり診断に有用です (図2) (佐久間(2009))。また、アイソトープ検査の99mTc PYPシンチもATTR型アミロイドーシスの診断に大変有用です。

 

 

◆ 心筋生検

 

心アミロイドーシスの確定診断は心筋生検(しんきんせいけん)によります。心筋生検とは心臓カテーテルにより心臓の組織を一部採取し、顕微鏡で観察したりウィルス検査やタンパク質を調べたりする検査のことです。アミロイドは心筋全体に均一に分布するため、心筋生検にてアミロイドが確認されれば、ほぼ100%診断が確定されます。
心筋生検のヘマトキシリン・エオジン(HE)染色では、心アミロイドーシスの場合、心筋細胞が無構造な線維として置き換わっていることがわかります。コンゴレッド(Congo red)染色では、赤褐色の染色像を確認できます。アミロイドは偏光顕微鏡下で apple green と呼ばれる緑色を示し、本症に特徴的です。さらに、最近では、ダイレクトファーストスカーレット(DFS)染色でコンゴレッド染色よりも、はっきりと分かるようになりました(図3))。

 


(左上:ヘマトキシリン・エオジン染色弱拡大、右上:ヘマトキシリン・エオジン染色強拡大、左下:コンゴレッド染色、右下:ダイレクトファーストスカーレット染色)

 

● 心アミロイドーシスの治療

 

透析性アミロイドーシスや内分泌性アミロイドーシスなどの他の病気が原因で発症する「続発性アミロイドーシス」では、原因となる病気の治療により改善を期待できます。しかし「原発性アミロイドーシス」に対する根本的な治療は、現在探索中の段階です。

多くの場合は、各臓器における機能を悪くさせない治療や、症状を和らげる対症療法(たいしょりょうほう)が中心となります。しかし、家族性アミロイド・ポリニューロパチー(遺伝性ATTR)に対し肝臓移植を行うなど、病気の種類によっては原因に対する治療が可能となってきています。

心アミロイドーシスに関しても、現在のところ特効的な治療法は存在しておりません。心不全に対しては、利尿剤を中心とした治療が行われます。

心アミロイドーシスの患者さんでは血圧が低い傾向ですので、心不全の治療薬でもあるβ遮断薬やACE阻害薬、アンギオテンシンll受容体拮抗薬を慎重に投与しないといけません(表3)。

心電図で、洞不全や房室ブロックを呈する場合は「永久ペースメーカー」を、また致死性の不整脈がある場合は「植込み型除細動器」の治療を行うこともあります。

 

表3.心アミロイドーシス(原発性)の治療法

 

AL型の心アミロイドーシスに対しては、アミロイド蛋白のもととなる免疫グロブリンを作る異常な免疫細胞を治す必要があります。そのため、移植ができる方では自家造血幹細胞移植を、移植ができない、または希望されない方では薬物療法(化学療法)を行ないます。

ALアミロイドーシスの化学療法には、MD(メルファラン+デキサメタゾン)療法があり、外来通院で継続可能です。MD療法により血中M蛋白、アミロイド沈着が減少するだけでなく、臓器障害の改善、生存期間の延長が期待できるといわれています。そのほかにも、プロテアソーム阻害薬ボルテゾミブやサリドマイド系免疫調整薬などが有効な新薬として治療に使われています。

しかし、ALアミロイドーシスは早期に発見し、早期に治療を始めないと、十分な治療効果を期待できません。AL型アミロイドーシスは特に病気の進行が早く、未治療での予後が一年未満という重篤な病気です。「心肥大は心アミロイドーシスを疑うべき所見の第一歩」という考えのもと、本疾患の検査を速やかに進め、早期に診断することが非常に重要です。

 

● 心アミロイドーシスの生活上の注意

 

心アミロイドーシスにおける日常生活の注意点は、他の心不全患者さんと大きく異なりません。

すなわち、塩分を控えたり、過度な運動を避けたり、感染の予防をすることが重要となります。

以上「慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト」から転載しました。

 

「慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト」
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/index.html

 

 




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